カテゴリ:文芸部
文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その53
◆一つ目の終幕◆
みなさん、こんにちは、こんばんは、それとも、おはようございます? 折下ふみかでございます。今回の「折下ふみかの華麗なる冒険」はちょっとメタい話になります。…
今回の折下文香の〝中の人〟である私が文章を書く回は、今回が最後となります。思えば、ふみかちゃんの冒険の第一回は2024年07月09日、松籟祭(文化祭)についてのお話でした。書いた人は、当時の3年生の先輩だったかな。ふみかちゃん爆誕も、6月のことでしたね。ぬるっと名前が決まったので、実は私も(たぶん当時の文芸部の誰も、もしかしたら顧問の先生も)正確な誕生日を知らないんですよね…。それからおよそ2年間、尊敬してやまない先輩が卒業したり、かわいいかわいい後輩が入ってきてにぎやかになったり、いろいろありながらもみんなで「折下ふみかの華麗なる冒険」を続けてきました。きっと、これからも後輩のみんながいろんな冒険を記していってくれることでしょう。さみしいけど、しょうがないというか。
それはそれとして、私には切実な望みがあります。ふみかちゃんの創作をこれからも続けたい! そして発表する場がほしい!! 前回、「せせらぎ」190号で私は「『折下ふみか』特集」を開催し、みんなでふみかちゃんの物語を書きました。しかし、まだまだネタは尽きない…。けど私には、もう発表する場はない…。
と、いうわけで! 卒業してもふみかちゃんの二次創作(表現あってるのか?)を書き続けられる、発表できるサイトとか作れませんかね!? 「折下文香の拾遺集」とかさぁ…いいと思うんだけど…。卒業しちゃったら「折下ふみか」ちゃんの名前を使うのっていろいろダメだと思うんだよな…。でもふみかちゃんのつもりで書いた話を、ふみかちゃん以外の名前に変えて発表するのも納得できなくて…。どうしようかなぁ。
そういえば、ぜんぜん話が変わっちゃうんですが、一つ心残りがあったんですよ。どうせだし、ここで言っちゃおうかな。2025年06月12日投稿の「文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その20」で、せせらぎ188号の合評会のレポートが載っているんですが、その中の私の作品「記憶のカケラ」で、Gちゃんが「ひとはだれでも死ぬけれど、その宿命を悲観するのではなく、死ぬまでを前向きに生きることで「私」は娘の記憶の中に断片的でもかまわないから生き続けようとつとめる。」って言ってるけど、実はこれ、間違ってるんです。「私」は祖母(「私」にとっての母)を知らない自分の娘に、ブランデーケーキの話をして、その後ねだられるままに自分の母親の話を聞かせることで、会ったことがなくとも、自分の祖母はこういう人だったんだな、って知っておいてもらいたかったし、憶えておいてもらいたかったんです。たぶんこれは、私が、会ったことのないひいおじいちゃんやひいおばあちゃんの話を聞きたがることがある、というところから来ているんでしょう。
この間違いに気づいたとき、直してもらおうかと思ったんですが、投稿されてからやや経っていたし、何と言って直してもらえばいいかもわからなくて、結局言えなかったんですよね。この話がなんだかわからないって人は、「せせらぎ 188号」または「文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その14」、「文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その20」を読んでね。(宣伝)
最後の最後にこんなんでいいのかってちょっと思いましたが、まぁいいでしょう! これからも、「文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険」をよろしくお願いします。そして、後輩ちゃんたち!(まだ見ぬ後輩ちゃんも含めて)ずっとずっと、ふみかちゃんと一緒に、文芸部を盛り上げていってね! 今回の「せせらぎ」に私が出す予定の、ふみかちゃんの死ネタみたいな最期が来ないことを祈ってるよ!!(←何書いてんねん)
それではみなさん、そろそろお別れの時間でしょう。(書きたいことは書きました!!)折下ふみかよ、永遠なれ! …以上、今回の〝中の人〟ラギでした。
文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その52
6月である。
私、折下ふみかには、とても深刻な悩みがある。それは、本日の太田女子高の生徒にとって共通の悩みだと思う。
「〇〇高校、休校になったって!」
「うわあ、いいなぁ」
「なんで太女は休校にならないのかなぁ」
そう、その悩みとは、台風の接近にもかかわらず休校にならなさそうなことである。
この時期には珍しい台風の接近。私にとって、その意味はたった一つ。
……学校が休みになるかもしれない!
いや、「かもしれない」ではない。きっとなるはずだ。うん、そう信じよう。
台風の影響による被害が大きいのは良くない。でも、あまりに弱い雨だと休校にはならないだろう。だから、台風には休校になるギリギリを攻めてもらいたい。
帰りのホームルームで、先生が言った。
「明日は台風接近の危険があるので、早朝課外がなくなりました。」
「わぁぁぁ! やったー!」
盛り上がる教室の隅で、私は一人思っていた。
……私、課外とってないから、関係ない!
そうだ! 明日の天気を調べよう!
ホームルーム後にスマホを取り出して天気を調べるも、出てくるのは無情にも曇りマークだ。無表情でリロードするも、当たり前だが結果は変わらない。
心の中でため息をつき、スマホをしまう。
まあ、明日になったら、きっと土砂降りで強い風が吹いているはずだ!
その「明日」になった。
起きて早々窓から外の様子を見るが、なんか、思っていたのと違う。
……なんでこんなに弱い雨なの?
いや、もちろん、台風の影響が小さいことは、良いことだ。台風の被害が小さいほうがいいに決まっている。私の母も、雨の日は「洗濯物が乾かない」と怒っているし。
でも、でも……。期待していた。期待していたからこそ、この結果はなんとも悲しい。私の日ごろの行いが悪いから、期待した結果にならなかったのかな。 ……自覚がある。むしろ、自覚しかない。そもそも休校になるように願っている時点で行いが悪い。
……いや、希望を捨てちゃダメ! まだ休校の可能性はあるよね。
スマホを片手に朝ご飯を食べる。もちろん、スマホを見ながらご飯を食べるような、良くない行為をするためではない。学校からの休校の連絡を待つためである。
……こないなぁ。
ご飯を食べ終わる。
………こないなぁ。
学校に行く準備が終わる。
…………こないなぁ。
しょうがない、学校に行こう。
雨のせいか、風のせいか、はたまた気持ちのせいか、一歩が重い。
「おはよ!」
「わっ!」
急に話しかけられ、びっくりする。
「そんなに驚かないでよ。」
「あっ、なんだ、栞ちゃんかー。」
この、「なんだとは何よ」とプリプリ怒っている女の子は私の友達の栞ちゃんだ。
「休校にならなかったね。」
「期待していたのになぁ。」
「しかも△△高校も休校らしいよ。」
「うわあ、いいなー。」
栞ちゃんと仲良く学校に行く。どんよりしていた気持ちはいつしかなくなっていた。
なんだかんだ言って、こういう会話が楽しいのだ。休校になるよりも、学校に行って友達と他愛もない会話をするほうが楽しいと思う。
気づいたころには、もう雨は降っていなかった。
文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その51
5月9日土曜日。太田女子高校の文芸部員と新聞部さん、太田高校の文芸部員さんが集まり、金山登山に挑みました。金山登山というビッグイベントは去年も企画されていましたが、その時は天候に恵まれず、大光院にて句を考え、太田女子高校の小会議室で句会を開くという形になっていたのです。つまり、新入生だけでなく、2、3年生にとっても初めての金山登山となりました。そういうこともあり、波乱万丈となった金山登山の様子を、これからお話していきたいと思います!
登山し始めてすぐのころ、私たちはそれはもうルンルン気分で山を歩いていました。どれくらいかというと、童謡を斉唱してしまうくらいに。余裕だなぁと思っていたのです。なぜなら超なだらかな山道だったから…あなた体力無いんだから大人しく黙って登りなさい!!…なんて、あの時の私に言ってやりたいです。
山頂まであと半分、いや3分の1くらいだったでしょうか。段々と、段々と…! 階段がきつくなってきました。ひぃひぃ言っている人もいれば、まだまだ余裕そうな人もいる、そんな感じでした(私はもちろん前者)。道中ではとにかく様々なことが起こりました。途中で蛇に会っちゃったり、熊出没注意の看板でちょっぴり吃驚したり、水芭蕉の花のクイズを出してもらったり…。
山頂に辿り着いた時の感動は忘れません。とにかく空の青が綺麗に見えました。それから、ふもとにある太田女子高校や太田高校の校舎が凄く小さく見えて、こんなに高いところまで来たのか、という実感が湧きました。日差しは相変わらず強かったので、皆で屋根の下に避難して、絶景を見ながらお昼ご飯を食べました。お菓子交換会なども行われ、にぎやかな休憩時間となりました。
お昼ご飯の後は句会です。皆さん、ここまで登ってきた道のりや、今見えている景色をもとに、素敵な俳句を作っていました。
【太女1年生の作品】
風薫る山頂目指す青い空 山頂で富士霧隠れ初夏の日に
山の中春風強すぎ前見えない
爽やかに木々生い茂る青々と
風吹けば青葉揺れるや山の頂
金山の囀りを聞き春を知る
夏風邪がゆらゆらと吹く金山よ
城趾で若葉の風に行き弾む
【太女2、3年生の作品】
春の山風と闘う土踏まず
風光る木漏れ日のなか歩みゆく
五月晴輪唱響く山の中
揺れ動きさらさらと舞う新緑や
紋白蝶お前も独りであるか
せせらぐは揺らぐ春山小川のように
春の風友と並んで山を行く
空広く風吹き抜ける山若葉
春疾風乱れ心を飛ばさばや
【太田高校生の作品】
快晴の水面に宿る水芭蕉
若葉揺れ風を感じて目を細め
雄々と歴史を語る岩肌よ
金山に風光り咲く夢の跡
行く春に姿変わらずいしかたく
燦々と木漏れ日の雨が降る
ざわざわと震える木々よ気高くて
みなさん(とくに新聞部、太田高校文芸部のひとたち)、素敵な俳句をありがとうございました! 解説や感想を言い合う時間は、更なる作品づくりへのインスピレーションになりました。
下山中も沢山の試練がありました。落ち葉が落ちているところは滑りやすく、私も何度か転びかけました。じゃあ落ち葉じゃないところを…と避けてみても、今度は砂利で足を持っていかれそうになったり。妙に険しいな、と思ったら道を間違えてしまっていたり! (「ごめんさない」顧問の独白)そんな中でも、私たちは協力し、声をかけ合い、手を取り合って何とか無事に下山することができました。山道から抜けた私の第一声は「平らだ……」で、暫く平らな道の良さを噛み締めていました。
運動が大の苦手な私ですが、終わってみると達成感と楽しかった思い出がこみ上げてきて、こういうのも案外悪くないなぁと思えました。皆さんも、勉強やお仕事に疲れた時は、思い切って山登りに行ってみてはいかがでしょうか。
文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その50
桜について少し思ったことがあるので、書いてみたいと思う。
多くの人は、桜は満開のときが一番いい、と感じていると思う。私もこの前まではそうだった。でも、今年の春に気づいたのは、満開から1、2週間くらい経った花が半分くらい散ってしまった頃の桜も、とても素晴らしいということだ。葉っぱと花、半々くらいがちょうどいいバランスだ。空の青、葉の若緑、桜のピンク。枝の黒でアクセント。満開のとき、木が花で埋め尽くされていると、全体としては華やかで美しいのだけれども、その花ひとつ、ひとつに注視する機会が減ってしまうように思う。全体がぼやっとピンクな感じ。でも、葉っぱがあると、各々の花が緑のなかに際立って、ひとつ、ひとつが大切に思えるようになるのだ。このとき、じっと花を見てみる。桜の花は散ってしまうからと儚いものに思われがちだ。けど、このころに見てみると、周りが新参者の若葉ばかりだから、お花がなんだかベテランに思われて、儚いというよりもむしろ、「ずっとここに居ました、これからもいます」という風な顔をしているように思えるのだ。ふと地面をみる。そんな顔とは反対に、落ちていった仲間が地面で絨毯をつくっている。やはり、永遠ではないことはわかっているのか。仲間に対して、新入りに対して、どんな気持ちなのだろう。有限がわかっていたら、最後に残る花は、きっと、新参者の葉っぱたちになにか、この木の歴史でも語っている。もしかしたら、冬の寒さは辛すぎた、とかと愚痴っているのかも。花たちは、私たちの目を、心を癒してくれた。新入りの葉っぱたちはきっと、夏ごろにはこの木にの主体となって、私たちを強い日差しから守ってくれるだろう。
そんなことを思った今年の春でした。
そして、な、な、なんとついに、「文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険」が連載50回を達成しました!(ぱちぱちぱち)ふりかえればこのブログが産声をあげたのは2024年7月のことです。文芸少女の文芸少女たる矜持をもって、日日是文芸少女である私折下が文芸少女のありったけをこめて作品を書き綴ってまいりました。ちりも積もれば山となる、連載開始から2年の歳月を経て、50回という節目を迎えられたのは、ひとえに「読者」のみなさまのご愛顧の賜物と心得ております。これからも文芸に精進し、現状に満足せず、一作ごとに文芸少女として成長してゆけるように励んでまいりますっ! 乞うご期待!!
文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その49
気がつけば、新学期を迎えてからもう一か月が経つ。天を仰げば、色とりどりの大きなこいのぼりが列をなして青空を悠々と泳いでいて、手を広げれば、ほんの少しの湿気を帯びた風が私の体をやさしく撫でてゆく。五月最初の休日は、まだ浮足経ってしまうような陽気に包まれていた。
もうゴールデンウィークがはじまっているというのに、この六日間の予定は何ひとつもたっていない。少し気が早いが、今後外出する予定のない私はスーパーで一パック四つ入りの柏餅を買って家に向かった。誰かとシェアをする前提で作られた賞味期限の短い、甘ったるくて不意に食べたくなる代物。たくさん出された課題を消化しなければならないのに、右手には白くて甘い誘惑。最終日に泣きそうになりながら課題を必死こいて片付ける姿が容易に想像できてしまい、家族が帰ってくるまでは、と思いそれを冷蔵庫の一番上の段にしまい込んだ。
なかなか集中力は続かず、去年の修学旅行で購入したシャーペンをくるくると無意味に回し、ノートの隅をトントンとノックした。ややあって、しびれを切らした私は模範解答を真っ白な解答用紙に赤色で書き連ねた。つぶれた赤い文字を解答用紙いっぱいに書き連ねた。ふぅ、とため息を吐いたのと同時にスマホの通知音が一人きりの部屋に鳴り響いた。「もうすぐ家に着くよ」
そのメッセージを見た途端、忘れかけていた存在が頭に浮かんできた。大きく伸びをした後に、しびれた足をたたきながら冷蔵庫へつま先を向けた。独特な冷蔵庫のにおいを吸って、一番上の段の棚に手を伸ばした。少し冷えたパックが熱くなった体をだんだんと冷まして、足先から脳天まですっきりしていく感覚。大事に抱え、ダイニングテーブルに置き、パックを開ける。柏の香りが鼻の奥にスッと抜けていく感覚が心地よくて勉強でこわばったからだがゆっくりとほどけてゆく。もちもちとした触感と程よいあんこの甘さがクセになり、一口また一口と手が止まらなくなる。あっという間に手の中からなくなった柏餅を思うとなんだか口がさみしくなり、もう一つ柏餅を手に取り食べ始めた。母と父の分を残しておけばきっと大丈夫、そんなことを思い食べ進めた。網戸を通り抜けて優しく私を包む風のせいか、残りの二つを気づいたら食べ終えていた。
満足し、ややあって車のエンジンの音が家に響き、手元にあった空になったパックをばれないようにごみ箱の奥に捨てた。