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文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その15

◆2代目ぐんまちゃんとゆうまちゃんと初代ぐんまちゃん◆

2月22日は何の日? といえば、だいたいの人が猫の日と答えると思います(にゃんにゃんにゃん!)。それだけじゃなく、2月22日は我らが群馬県のマスコットキャラクター、ぐんまちゃんの誕生日です!! Happy Birthday、ぐんまちゃん! せっかく誕生日なので(?)ぐんまちゃんについて、改めて調べてみました。

名前    ぐんまちゃん
生年月日  2月22日
出身地   ぐんま
年齢    人間だと7歳くらい
好きなこと 楽しいこと、人を笑顔にすること
      温泉でリフレッシュ
      ぐんまの食べ物
特技    みんなを癒やす不思議な力
仕事    群馬県宣伝部長
(「ぐんまちゃんオフィシャルサイト」(https://gunmachan-official.jp/)プロフィールより)

ちなみに、永遠の7歳らしいです。かわいいな……。上4つくらいは知ってたけど、特技の「みんなを癒やす不思議な力」は初めて聞きました。かわいさでみんなを癒やすってこと……!? ゆるキャラグランプリで1位を獲得したこともあるし、知名度はかなり高いであろうぐんまちゃんですが、正式名称は「2代目ぐんまちゃん」らしいです。しかも最初はぐんまちゃんじゃなくて「ゆうまちゃん」だったとか……!!
私の家には、「ゆうま三兄弟のゆうこ姫を救え!」という絵本があります。食生活が悪くて体調不良を起こしたゆうこ姫を助けるために、ゆうま三兄弟が野菜を探して旅をする……みたいな話だったような。懐かしくなって引っ張り出してみたら、奥付に平成17年3月31日発行と書いてありました。2008年7月にぐんまちゃんに改名したらしいので、まだゆうまちゃんだったころの本だったんですね。とても気に入って、何度も読み返していた記憶があります。
ちょっと脱線しましたが、ゆうまちゃんは1994年、全国知的障害者スポーツ大会、ゆうあいピックのマスコットキャラクターとして登場しました。ゆうあいピックから「ゆう」、ぐんまから「ま」を組み合わせて「ゆうま」になったそうです。ゆうあいピックが終わった後も活動し続け、アンテナショップ「ぐんまちゃん家」がオープンしたのをきっかけに改名したとのこと。その際、既に初代ぐんまちゃんがいたため、「2代目」ぐんまちゃんになったようです。
私は初代がいたことを知らなかったので、すごくびっくりしました。初代についても調べてみたところ、初代ぐんまちゃんは1983年、国民体育大会(あかぎ国体)のマスコットキャラクターとして作られたそうです。ぐんまちゃんもゆうまちゃんも、スポーツの大会のマスコットとして生まれたんですね。ぐんまちゃんはゆうまちゃんよりもより馬に近い姿で、ゆうまちゃんと同様に、大会の終了後、県のマスコットキャラクターに変わっていきました。
初代ぐんまちゃんも、2代目ぐんまちゃんも、似たような経歴があったんですね。普段はあまり来歴とかを気にすることもなかったけれど、改めて調べてみて、楽しかったです。いつか3代目ぐんまちゃんが現れたり……流石にないかな? ぐんまちゃん、すごく人気だし。今回はぐんまちゃんだったけど、全国のマスコットキャラクターの歴史とかを調べてみるのも楽しそうです。

 

文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その14

◆「せせらぎ」188号◆

太田女子高等学校文芸部の部誌「せせらぎ」188号が完成しました!

デジタル版をつくりましたので、ご覧ください。

冊子をご所望の方はおちかくの部員までお申しつけください。

せせらぎ188号.pdf

◆高校生JOMO小説◆

2年生の長山穂乃花さんが最優秀賞、1年生の石原真奈美さんが佳作をそれぞれ受賞しました!

上毛新聞紙上では昨年の12月に発表されておりますが、おくればせながらご報告いたします。

おふたりともおめでとうございます。

文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その13

住んでいる市と同じ市ではありますが、少し離れた田んぼや畑が広がる方に先日行ったときのことを話そうと思います。その時、母と車に乗っていたのですが、私は衝撃的なものを見ました。「白菜3つで100円」、そう書かれた看板です。目を疑いました。3つで100円?! 普段、買い物に行きませんので、野菜の相場価格は知りませんが、そんな私でもさすがにこれは破格だということが分かりました。母は運転をしていたので、その看板に気づかなかっただろう、そう思い、運転している母に興奮気味に伝えました。母は「えっ、見間違いじゃない? 白菜なんて、1つで100円でも安いのに、3つで100円!」そういい、来た道を戻って、看板があった場所に行きました。砂利の駐車場に車を止め、そこには確かに「白菜3つで100円」と書かれた看板がありました。小さな小屋があり、黄色い農業用のコンテナボックスの中に白菜がたくさん入っていました。売り物にできなかったからこんなに安いのでしょうか。確かに、そこに入っていた白菜は少し小ぶりだったり、形がいびつだったりしましたが、痛んではおらず、とても美味しそうな白菜でした。その横には、1袋100円のホウレン草も売っていました。無人販売のようで、小屋の前に小さな箱があり、「お代はこちらに入れてください」と書かれた紙が添えられていました。母とワイワイしながら、白菜を3つ選び、それにホウレン草も一袋持って、小さな箱に100円玉を二枚だけ、入れました。家に着いて、母は買った白菜を1つ、近所の家にお裾分けをしに行きました。その日の晩御飯はもちろん白菜がたっぷり入った鍋で、それはそれはとても美味しかったです。

 

 

文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その12

◆太田高校文芸部との合同読書会&句会◆ 

 クリスマスの翌日の12月26日に、今年度2回目となる太田高校との読書会&句会が開催されました。今回の会場は太田女子高校の図書室です。太田高校文芸部の皆さん(4名)が風が吹き寒い中、こちらまで来てくれました。ありがとうございました!
 まずは句会です。今回のお題は「おくりもの」。贈り物、人を送る、言葉をおくる……それぞれ思い浮かぶものは様々ではないでしょうか。この句会では計24句が創られましたが、文字数の都合上、その中から得点が高かった数句を紹介しようと思います。

  好物を贈れど君は来ぬ盆よ

 点を入れた人の感想は「故人への思いを読んだのがしみじみ感じられる」「最後を『お盆』ではなく『盆よ』としたのがよい」などがありました。作者の意図としては感想にもあったように、故人への思いを詠んだものでした。「盆よ」の「よ」を入れたことについては素晴らしいセンスによって自然と思い浮かんだそうです。私はこれを初め、「(独身の一人暮らしの)子供に好物を送ったとしても、お盆さえ家に帰ってこない」という風に解釈していました。しかし、作者の意図やほかの人の感想を聞くことで納得の気持ちになり、この句がより素晴らしく感じられるようになりました。とても素晴らしい俳句だと思います。

  封を切り届いた通知桜咲く

 この句に対する感想には「前半の堅苦しい感じから『桜咲く』で一気に華やかになるのがよい」「『桜咲く』という言葉の選び方が素敵」などが上がりました。前半部分で合否の結果をためておいて、一気に最後に「桜咲く」。この俳句もまた素晴らしいです。2年と少し後の私も「桜咲く」の文字が見られるよう勉学に励まなくては。

  オリオンに見送られゆく夜汽車かな

感想には「星空が幻想的」「銀河鉄道が思い出される」などがありました。キラキラ光る星空のもと、線路を走る汽車。空気は澄んでいて遠くまで汽車の音が響きそうです。文字だけなのにパッと美しい情景が浮かぶのですから、俳句の力はすごいですね。

  風邪づてに叶わぬ届き哀,破る

この句は「風邪は人から人へと伝わるから、風邪も『おくるもの』すなわち『おくりもの』だよね」という解釈のもとで創られたそうです。感想には「対比がおしゃれ」「『哀,破る』に活字のセンスが感じられる」などがありました。「おくりもの」の捉え方もたくさんあって面白いなと思わせられました。今の時期にピッタリの俳句です。
 これらの句の他にもたくさんの素晴らしい句がありました。感想や解説を言いあい、俳句への理解を深めていくのはとても楽しいですね。全体の句会の様子としては、みんなでワイワイ仲良くしながら進められた感じです。つぎの機会を楽しみに、各自で研鑽をつみましょう。
 続いては読書会です。今回の読書会のテキストは「山村氏の鼻」です。尾崎翠という女流作家が1928(昭和3)年に発表した短編です。尾崎翠? 知ってます? わたしは知りませんでした。Wikipediaで調べてみました。尾崎翠は1896(明治29)年12月20日生まれ、1971(昭和46)年7月8日没。1915(大正4)年から1933(昭和8)年ころまで作家活動をしていたようですが、そのあいだはほとんど評価されていなかったみたいです。1933年に(はじめて?)発行された『第七官界彷徨』はときの文壇を瞠目させたということですが、そのときにはすでに尾崎翠は実家がある鳥取に引き込んでおり、その後、確たる創作活動にはとりくまなかったようです。「第七官界彷徨」を軸とした尾崎翠の評価は彼女が創作活動から遠ざかったり、死没したあとになって高まってゆき、知る人ぞ知る特異な小説家として全集やアンソロジーが出版されてきたんだそうです。
 さて、今回のテキストである「山村氏の鼻」ですが、そういった尾崎翠に対する知識があるとますます奇妙な小説であるような気がしてきます。異様な嗅覚の持ち主である山村氏が、その能力を逆手にとられて、手痛いしっぺ返しをくらう物語……と聞けば、話が弾みそうなものですが……わたしは、全然喋れませんでした!! なんでかなーと思ったのですが、よく思い返してみると、登場人物がどうしてその行動を取ったのかとか、行動の理由がなかなかわからなくて、全然感想を持てなかったんですよね。でもほかのみんなは楽しそうに喋っていて、ちょっとおいてけぼりをくった感じでした。残念。「もっと頑張らねば……!!」とつくづく思いました。おくればせながら、匂いに敏感な山村氏が自身の発する匂いに弱点があったという設定は尾崎翠らしい(と偉そうにいいますが)とおもいます!(当日いいたかったぁ)
 楽しい時間はあっという間に過ぎるものです。今回もまた、気づかぬうちに日が傾いてしまい、もっと話したいと思いながらも解散になりました。次回は春休みでしょうか。こんどはどんなお話を読んで、どんな句を作りましょうか。楽しみで仕方ありません。

文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その11

「がんばるからっぽ缶」

 こんにちは。僕はアルミ缶です。今、道の端っこに転がっています。これで僕も晴れてポイ捨てゴミの仲間入り、ということでしょうか。
 ひとつだけ、元の持ち主さんの名誉のために弁解をするとするなら、多分あの人は僕のことをポイ捨てしようと思って道に捨てたわけではないと思うのです。
 ポイッと投げられるというよりも、むしろペイッと押し出されるような感覚がしたので、落っことされてしまったのだと思います。あんなに勢いよく落ちたのは自動販売機で買われたとき以来ですね。
 あ、言ってませんでしたね。僕、自販機出身なんですよ。
 そんなわけで、(おそらく)不慮の事故で道端のゴミとなってしまった僕は、どうすることもできずに道端で大人しくしているのです。少しだけ中に残っていた清涼飲料水が頭の飲み口からピタピタとこぼれている気がします。
 乾いたらベタベタになっちゃうかな。嫌だなぁ。
 そういえば、僕はリサイクルされるのが夢なんですよね。
 だから早めに拾ってもらわないと、汚いせいでただのゴミとして捨てられてしまうかもしれません。それでは困ります。
 誰か人間が近くを通って、僕のことを拾ってくれればいいんですけど、こんなにジリジリ地面を焦がすような太陽が照りつけていると、僕もアツアツになってしまって誰も拾ってくれないかもしれません。
 そもそもこの道は車ばかりが多く走っていて、あまり歩いている人間を見かけませんね。ここで拾ってもらうのは望み薄かな、と僕は風に乗って転がって行きました。ころころ。
 ころころ。一日かけて転がってきた先は、どうやら広めの歩道がある人通りの多い道のようです。ここなら拾ってもらえるかな、なんてほくそ笑みました。
 ですが、どうにも様子が可笑しいようです。たくさんの人が僕の前を通っていくのに、誰ひとりとして僕に見向きもしないのです。
「ッダッっッっっ!!」
 ほら、今だって小さな男の子が転んでいますが、誰も気にしていません。たしかに小さいと言っても小学校中学年くらいの年ではありますが、転んだときの異常なまでの声が気にならないものなのでしょうか?
 僕はまだ人間のまちは二日目ですが、なかなかにキマった声だと思いました。ですが、周りの人間たちは特に気にならないのでしょうか?
 無機物である僕が言うのもなんですが、もう少し周囲に関心を持つ余裕を持ったほうがよいのではないでしょうか。
「ヤッっ!!」
 あっ。転んでいた少年が起き上がって僕を蹴り飛ばしてきました。少し側面が凹んでしまった気がします。少しだけ飛びます。ひゅーん。転がっていきます。ころころ。
 道の端っこも端っこ。本当に人目につかないような影に追いやられてしまいました。これでは見つけてもらえません。
 どよーん、と落ち込んだ空気を醸し出していると、かさかさ、と何かが動く音がしました。
「やあ、君もこんなところに来てしまったのかい?」
 はい。あなたは誰ですか? ずいぶんと泥にまみれてしまって元のお姿がわからないのです。
「私はパックジュースの紙パックだよ。ぶどう味のね。子供向けキャラクターが印刷されていたんだけど、もう見る影もなくなってしまったよ」
 そうなんですね。実は、僕はリサイクルされたくて。こんな人通りのないところでは見つけてもらえなくて困ります。
「へえ、君はリサイクルされたいのか。珍しいね。私は人間に拾われるなんてまっぴらゴメンだよ」
 そうなんですか。考え方はそれぞれですからね。
「まあ、君が人間に拾われたいのなら、ここほど向かない場所はないだろうね。向こうに行ってみたら? ここよりも人が通るし、拾われていくやつもいくつか見かけたよ」
 わあ、ありがとうございます。行ってみますね。
「おう、気をつけてな」
 ころころ。転がります。
 コツン。
 おや、なにかとぶつかってしまいました。すみません、大丈夫ですか?
「あ、ああ大丈夫だ。気をつけろよ」
 先ほどパックジュースの紙パックさんに気をつけるように言われたばかりなのに、もう不注意になってしまいました。恥ずかしいです。
 あなたは、誰ですか? 元のお姿がまったく想像できませんね。もしかしてプラスチック製でしょうか?
「さあな。そう見えるってんならそうなんだろ。俺も俺がなんだったのかなんてわからねェよ。」
 そういうものなんですか?
「おー。落っこちてすぐの頃は仲間たちとくっついてひとつのなにかだったんだ。だが、いつの間にかバラけちまって、気がつけば自分がなんだったのかすらわからなくなっちまった」
 大変ですね。
「そうでもねェさ。ただ少し、……さみしいかもな」
 それなら、僕と一緒に行きませんか?
「何をしに、どこに行くんだ?」
 リサイクルされるために人間に拾われに、もっと人の多いところへ行くんです。
「さっきみたいに転がってか?」
 そうです。でも、あなたは転がれないですね。
「俺は平べったいからなァ」
 それなら僕の飲み口に入りますか? 少し狭いかもしれませんが、頑張れば入れると思います。
「こうかい?」
 ぐ、ぐ、と黒色のプラスチック片さんは僕の飲み口に体をねじ込みました。なんだか変な感じがします。
 それでは行きましょうか。
「おう!」
 転がります。ころころ。
 水たまりに落ちました。びしゃびしゃ。ころころ。転がっているうちに濡れていたところが乾いて、細かな泥汚れが張り付いたままになってしまいました。ころころ。
 ころころ。ころころ。そろそろ人通りの多い道になってきたでしょうか。黒いプラスチック片さん、そちらはよく見えていますか?
「ああ! たくさん人が歩いてるぞ! ここらでいいんじゃないか?」
 それならここで拾ってもらえるのを待ちましょう。
 ころころ。ころころ。と同じ場所をなんども行ったり来たり、転がって待ちます。
 早く拾ってほしいなぁ。
「そもそもお前はなんでリサイクルされたいんだ?」
 ああ、その話ですか。僕が自動販売機の中にいた頃、上の列にいたコーラ缶の先輩が言っていたんです。彼は、彼女かな。まあ、先輩はリサイクルで作られたアルミ缶らしくて、リサイクル経験者なのです。「リサイクルされるってのは、かなり面白いんだ! 自分が自分でなくなって、それで新しい自分に変わっていく、あの感覚は一回経験したらもう忘れられないよ。怖いって言うやつもいるけどな、そういうやつはホントに無機物生損してると思うぞ!」とかなんとか。
「それで、お前はリサイクルされたいのか。変わってるな」
 そうでもないですよ。自販機の中ではリサイクルされたい派が一番多かったんですから。
「……他にはどんな派閥があったのか聞いても構わないか」
 不燃ゴミとして埋め立てられたい派と可燃ゴミと一緒に捨てられて燃やされたい派、あとはとても少数派ですけどそのまま缶としてずっと保管されたい派がいましたね。
「…………」
 そんなことを話しているうちに誰かの足音が近づいてきました。茶色いピカピカした靴です。バサリと音を立てて真っ黒なスカートが翻りました。
「あーゴミはっけーん、てなにこれ? 飲み口になんか詰まってる、イタズラ?」
 明るい少女の声とともに僕たちは金属製のトングで掴み上げられました。ふわりと少女は顔を近づけて僕たちをまじまじと見ています。
「きったな、これはそのままゴミで出しちゃえばいっか」
 なっ、「そのままゴミで出す」とは分別されないということでしょうか!? 恐れていたことが現実になってしまいました。
少女は僕たちを透明なビニール袋に入れようとしています。逃げましょう! と飲み口の黒いプラスチック片さんに声をかけて、ペイッと少女の手から飛び出しました。
「あ、っちょっと!」
 少女の驚いた声がしますが、思いっきり無視をして転がり続けます。なんとしてもリサイクルされるために!
 ――――こうして、アルミ缶と黒いプラスチック片のリサイクルを求める旅が始まったのだった。