2019年7月の記事一覧

2019アメリカ研修9日目報告(最終)

9日目 2019年 7月 8日(月)

 

 ボストンでは毎日真夏のような暑さでしたが、ニューヨークの朝は涼しさすら感じます。
 昨日キャンセルした行程を今日に移した関係で、当初の予定より一時間早くホテルを出ることになりました。外はあいにく小雨が降っていましたが、休息をしっかりとり、豪華なホテルの朝食を食べた生徒たちは気持ちも体もリフレッシュしたようで、清々しく研修最終日をスタートさせました。

ホテルでの朝食

 

 最初に訪れたのはセントラルパーク。雨が降っていてもジョギングや犬の散歩をする人が多くいました。人気のスポットまで案内していただきましたが、天候のせいか人はまばら。映画のロケなどでも使われるというこの場所は普段、歩きづらいくらい混むと言いますので、雨でも悪いことばかりではありません。ゆっくりと楽しむことができました。
 そこから車で 5 分ほどでバッテリーパークに到着。あの「自由の女神」を臨むことができる公園ですが、この雨の中、見られるかどうか?見られればラッキーと思って歩いていくと、遠くにしっかりその姿を見ることができました。写真にとると何かわからないくらいの小さな姿なのですが、肉眼ではしっかりと斜め後ろからの姿を確認でき、生徒たちも皆感激していました。

雨のセントラルパーク

後ろに小さく「自由の女神」

 

 そして、ワールドトレードセンター跡地。あの 9.11 テロで倒壊したビルがあった場所には現在、水をたたえる記念碑があります。犠牲になった方々の名前が刻まれており、その膨大な数には改めて衝撃を受けました。日本人の名前も見つけることができます。アメリカに滞在し様々な国の人と交流し、世界がどんどん近くに感じている生徒たち。彼女たちにとっては生まれる前の話ですので実感がないかもしれませんが、この場所を訪れたことで今後は自分たちと無関係ではないと感じるのではないでしょうか。

9.11 テロ跡地

 

 その後に訪れたニューヨーク公共図書館は歴史のある建築で、内装も美しくまるで美術館ではと思ってしまうほどです。入口にある二頭のライオンの像は生徒たちも「見たことがある!」。豪華な館内は、映画でもよく使われると言われて納得です。
 図書館のすぐ近く、グランドセントラル駅ではメインコンコースの天井が一番の見どころ。
 数年前に改修したという星座をモチーフにした美しい天井画は規模が大きく、それだけで一見の価値があります。長距離列車の発着駅でもありますが、現地の人は通勤でも利用する駅です。図書館も駅も日常的に使う場所がこのような歴史的建造物だなんてうらやましくなります。

ニューヨーク公共図書館

グランドセントラル駅

 

 午後は生徒の中でも関心が強かったニューヨーク国連本部への訪問です。中に入るために厳重なセキュリティを通り、見学者であるリストバンドを着用。敷地内には加盟国から贈られた記念物が数多く飾られており、それらを見ているだけでも興味深いものがあります。生徒たちは一時間ほどのツアーに参加しました。国連の様々な活動内容がパネルを使って紹介されていきます。日本人にとって関心が強い広島・長崎の原爆については一層集中力が高まったように見えました。原爆の熱風を後ろから浴びたという石像もあり、その恐ろしさを伝えています。世界の軍事費用をリアルタイムで伝えるパネルには毎秒変わる金額の表示があり、その額に驚愕。このように目で見て理解しやすい展示が多くありました。
 実際に使われている会議場に足を踏み入れると「ニュースでよく見るところ!」との声が上がりました。座席には通訳の声を聴くイヤホンが設置されていることに気づいたり、興味津々な様子で会場内を見渡していました。ツアーは英語で行われたので、すべてを聞き取れるわけではありません。ですが、大事な単語は残るようで、時々ガイドの方から質問をされ
ると、口々に英語で返答し、一週間の英語レッスンの成果もあるように感じました。
 ツアーの後は、日本人職員の方によるレクチャーがありました。先ほどのツアーで理解が難しかったことも改めて日本語で聞くことができました。国連とは何か?と言う問いに「平和を守る」「人権を守る組織」などの意見が出ます。それらに答えながら、国連の歴史や活動内容についてざっくばらんに語っていただきました。国連で働くには?の質問には試験もあるが、海外での就労体験や専門知識も必要と具体的なアドバイスもいただきました。

国連ツアー

日本人職員の方のレクチャー

 

 国連訪問を終え、夕食までの時間はタイムズスクエアへ。ニューヨーク一にぎわう観光地ですが、危険も隣り合わせ。時間も限られているので、まずは全員でおみやげ物を扱うお店へ。
 NY のロゴの入った雑貨や服など、いかにもなお土産を買いたいという生徒の希望通りの商品が目白押しで、30 分の予定でしたがぎりぎりまでショッピングを楽しみました。その後、希望者にはディズニーストアやスターバックスにも案内をし、それぞれ事前に調べてきたというお目当てのものを購入していました。

 

 今日、というより、この研修最後のプログラムはニューヨークで働く日本人の方との交流会です。レストランで夕食を共にしながら多くのお話を伺いました。今回参加いただいた三名の方は、それぞれメーカー勤務や、留学生サポート、人材派遣など職種は様々ですが、ニューヨークで生活をされていて、中には太田女子高校卒業生もいらっしゃいました。なんでも聞いて!と言って下さり、生徒たちは英語の勉強について、アメリカでの生活について、仕事についてなど思いつくまま質問攻めに。ゲストの方は食事をとることもままならないほどです。海外で生きることへの憧れもありますが、実際に一週間アメリカで過ごしてみて、まだまだそれは難しいことのように感じていた生徒もいます。ですが、目の前にいる素敵な先輩方もかつては自分たちと同じように戸惑い、悩み、失敗したこともあると聞くと、俄然現実的に考えられるようになったようです。外国で生活してみて起こったエピソードには驚くようなことも多く、皆夢中で話を聞き入っていました。食事を終えても話は尽きませんでしたが、タイムリミットが近づき、最後に生徒代表から感謝の言葉を伝えました。「いろいろな話を聞くことができ、とても参考になった。今日聞いたことを今後の人生に活かしたい」。この思いは他の生徒たちにも共通していたようで、レストランからホテルへ戻る道すがら、今日で将来が変わるかも、と言う生徒もいました。この研修が生徒の将来に繋がっていく道を作っていただいたのだと感じました。

交流会の様子

 

話は尽きず

生徒からお礼の言葉

 

 昨日はフライトキャンセルに伴いニューヨークでのスケジュールを大幅に変更せざるを得なかったため、今日は昨日分の予定も盛り込み、一日で多くの場所を訪れました。短い時間でしたが、ニューヨークと言う大都市を目の当たりにし、その規模の大きさ、慌ただしさにすでにボストンが懐かしく思い出されます。明日はいよいよ、アメリカを発ちます。朝 4:00集合と言うハードな一日ですが、多くの経験を経て一回りも二回りも成長した姿を早く見ていただきたいと思います。

2019アメリカ研修8日目報告

8日目 2019年 7月 7日(日)

 

 昨日、生徒同士で今日の出発について話し合ってもらいましたが、今朝はかなり早い時間からスーツケースを運び始め、結果的に予定より 10 分以上前に全員が集合。ボストン最後の朝は皆が協力的に動き、ニューヨークへ向け気持ちのいいスタートを切ることができました。フィッシャーカレッジに滞在したのは一週間でしたが、様々な経験をした分、生徒にとっては離れがたいようで、ボストンにずっといたいと言う生徒も少なくありません。生徒の一人が留学生からプレゼントを預かったという嬉しい報告もあり、仲良くなった留学生やスタッフとの別れが余計つらくなってしまいました。またボストンに戻って来たいと言う思いを抱きながら、次なる研修地ニューヨークに向け出発しました。

荷物を運び出す生徒たち

留学生から預かったプレゼントを見せる生徒

 

が、空港に到着し、チェックイン手続きをしていると思わぬ事実が判明しました。なんと天候の影響でフライトがキャンセルになってしまったのです。しかも、振替便は翌朝となっています。それでは、今日予定していたプログラムを全て諦めなくてはなりません。多くの生徒が一番と言ってもいいほど楽しみにしていたブロードウェイも今夜の予定です。今日中にニューヨークに到着する手段はないのか…ということで、飛行機ではなくバスで向かうことに。そのことを生徒に伝えると、まずは驚き、そして不安そうな様子になりましたが、あまり動揺は見せず淡々と行動に移してくれました。思わぬバスの旅となりましたが、考えてみればボストンでは地下鉄や徒歩でしたので、新鮮に感じたようです。自然豊かな風景から、ニューヨークシティに入り、大きなビルや煌びやかなお店が見え始めると、バスの中も興奮気味になりました。渋滞状況によって到着時間がだいぶ変わると聞いていましたが、本日は到着までに 6 時間かかりました。早ければ 4 間と言われていたので、かなり混雑していたようです。

お世話になったスタッフともお別れ

NYC の街並みに興味津々

 

 予定していた内容はほぼキャンセルとなってしまいましたが、ブロードウェイには何とか間に合いました。夕食はシアターの隣にあるレストランで、ハンバーガーやチキンなどアメリカらしいメニューをいただきました。

ミュージカル前のディナー

 

 そしてついに歴史あるシアターへ。席はバルコニーと呼ばれる上の席でしたが、今夜のプログラム“アラジン”の魔法の絨毯が浮かぶ様子やキャストの動きが良くわかり、夢中で見入ってしまいました。世界最高峰のミュージカルの聖地だけあり歌やダンスは当然超一流ですが、観客の歓声やリアクションも大きく、物語を盛り上げている様子も、なかなか味わえない体験です。終了後はすっかりその世界に魅了され、お土産を買わずにいられない生徒が続出。期待通り、最高の夜となりました。ニューヨークではホテル泊と言うことも、生徒にとっては楽しみのひとつとなっていましたが、予想外のハプニングで疲労もたまっている体には久しぶりの大きなベッドが一層有難いはずです。ゆっくり疲れを取り、研修最終日に向け体調を整えてもらえたらと思います。

ミュージカル終了後、興奮状態の生徒たち

お土産に殺到

シアターの前で

2019アメリカ研修7日目報告

7日目 2019年 7月 6日(土)

 

 ついにボストン最後の一日となりました。昨日の日記には、最後の授業でのこと、留学生との交流について多く書かれていました。「今までで一番話すことができた」「準備してきたものを全て出せた」「もっと英語を上達させたい」など、充実感や達成感で溢れています。初めは遠目から見ていた留学生と徐々に距離が近づき、挨拶や会話が増え、昨日は更に深い交流ができたことは見ていても感じるところでした。
 今日は班別自主研修として、班ごとに行動をしてもらいます。週末は 10:00 からブランチなので、その後、準備ができた班から出発としました。
 出発前には班長に渡している携帯電話の通話確認と、万が一はぐれてしまった時の対処法を聞きました。この研修中、生徒だけで自由に行動するのはこの日だけです。楽しんでほしいと思う反面、トラブルに巻き込まれないかと言う心配は尽きませんが、注意事項を伝えた後は生徒たちを信じ、無事の帰りを待つしかありません。
 途中で一度、安全確認と時間管理の面から連絡を入れてもらうことにしました。14:00の約束の時間には 4 班とも忘れることなく電話をくれ、順調に過ごしていることに一安心。ところが、集合時間である 18:00 の 1 時間ほど前から急な大雨に見舞われました。予想外のことに、集合時間に遅れる班が出てくることを覚悟しました。17:30 を過ぎたあたりからびしょびしょに濡れた生徒たちが続々と帰ってきます。残念ながら1 班は時間には間に合いませんでしたが、電話をしてくれていたので状況を把握することはできました。どうやら班の中で少しの時間二手に分かれて行動していたところ、合流ができなくなり時間を要したとのことでした。
 実は昨日、前田先生よりこの研修に参加する意識について改めて生徒たちに話があったところでした。ご家族、先生や日本にいる生徒さん、様々な方の思いを乗せていること、今まで先輩方が築いてきた信頼もあります。あくまで研修であるということを自覚し、これからの研修に臨んでほしいと言うメッセージでした。本日の自主研修でも一部、認識の甘さがあったように感じます。これからニューヨークでの研修が待っていることもあり、今一度気持ちを引き締め、再度研修への姿勢を見直してもらいました。
 明日は朝 7:45 に集合としています。寮には古いエレベーターが一基しかないのですが、我々が滞在しているのは 6 階と 7 階です。時間までに全員が集合できるよう、生徒たち自身で考えてもらうことにしました。明日の朝、一人一人が責任感を持って行動し、この研修の最終地ニューヨークに向けて出発したいと思います。

 

班別自主研修中の様子(生徒提供)

ボストン最後の夕食①

ボストン最後の夕食②

 

明日の集合について生徒でミーティング

2019アメリカ研修6日目報告

6日目 2019年 7月 5日(金)

 

 今日はボストンに来て一番の暑さとなりました。最高気温は 32℃と言うことでしたが、体感温度はさらに高く感じます。日本のじめじめした暑さとは違い、肌を焼くような強い日差しに汗が止まらない一日でした。
 今日は学校最後の日となりました。初日は先生が何を言っているのか聞き取れず愕然としていましたが、徐々に先生の話す英語を理解できるようになり、クラスメイトと話すことも増えてきているところでの最終日。残念な気持ちはありますが、最後の時間を楽しもうと教室へ向かいました。今日は最後の授業と言うことでテストも行われました。レベル別の英語クラスが行われたのは今日を含め 3 回でしたが、生徒たちにとっては学ぶことが多かったようで、リスニング、ライティング、スピーキング、グラマーなど一通りを確認するテストでも結果は良好。多くの生徒が高得点だったと嬉しそうでした。
 最後の授業を終えた後、今日は卒業生のために特別に様々な種類のサンドイッチを用意していただきました。初日に新入生のためにとピザを用意していただいたことを思い出します。その時は恐る恐る周りの様子をうかがっていた生徒も、今は堂々としているように見えます。
 昼食後はカフェテリアで卒業セレモニーが行われました。一人一人に修了書を手渡され、記念撮影。そしてゲーム用に用意されていた風船を一人一人膨らませ、最後にそれを投げるという、まるで大学の卒業式に帽子を投げるような光景も見られました。

ランチのサンドイッチを選ぶ生徒たち

卒業セレモニーでの一コマ

 

その後は昨日も訪れたクインシーマーケットでショッピングをした後、ボストン公共図書館に行くことになったのですが、そこで一つ課題を与えました。それは、班ごとに自分たちで図書館に行く、というもの。今まで様々なところへ地下鉄を乗り訪れましたが、常に案内人がいて、誰かについていけば到着するという状況でした。明日は班別自主研修を予定していますので、その前に地下鉄の乗り方や困ったときにどのように対処するのかと言うことを体験してもらおうと企画しました。アクティビティガイドも含め 4 名の大人はそれぞれのグループについていきますが、口は出さず最後尾で見守るのみ。様々な行き方があるのでどの方法を選ぶかも班に任せました。まず、Wifi があえてないところからの出発ですので、携帯で地図を見ることができないグループもあります。それでも印刷した地図を持っていたり、ひとまず最寄りの駅に向かいそこから路線図を見たり、アイデアを出し合っていました。携帯を使えると便利度は格段に上がりますが、急遽使えなくなる場合もあるかもしれません。そんな時にどのように対処するのか?と言うことは安全のためにも事前に考えておくべき重要なことです。班によって時間差はありましたが、全員が無事目的地に到着しました。明日を前に、チームワークについても意識することになったのではないかと思います。

クインシーマーケット前で

あまりの暑さに日陰を探す生徒たち

 道を尋ねる生徒たち

 

ボストン公共図書館

 

 図書館からフィッシャーカレッジまでも班ごとに帰ってきてもらい、夕食、そして最後のイブニングアクティビティです。実はこれまで、日本で用意をしてきた交流のためのツールをまだ出していない生徒が多くいました。今日が最後のチャンス、とこの時間にそれぞれカフェテリアに持参しました。今日、学校内にいる留学生の人数もわからないので、参加してくれる人は多くないかもしれないという不安もありましたが、FLS スタッフをはじめ、興味をひかれた留学生が徐々に集まってくれました。
 日本お菓子や浴衣の着付け、お手玉やけん玉などのおもちゃの他、特技である楽器を披露したり、留学生を楽しませようと皆必死でアピールします。
 どうやら日本のアニメを見て知ったらしく、浴衣の着付けは意外にも男子生徒に人気。着せてもらった後ポーズを決め友達同士で写真撮影を行っていました。けん玉やお手玉は、どうするのか見当もつかないようで、生徒がして見せると目を丸くして驚きの表情。何度か練習すると、勘のいい留学生はどんどん上達していきました。

浴衣の着付け

 

 その後も次々と留学生が集まり、道具がなくても互いの言葉を教えあったりして予定の時間が過ぎても終わる様子がないため、申し訳なさそうにスタッフが終了の声をかけに行きました。学校外アクティビティに参加した生徒も、一様に留学生との交流について興奮気味に報告してくれました。映画に行った生徒はブロードウェイの予習として“アラジン”を観たそうです。英語クラスの成果か、「意外とセリフも聞き取れた!」との感想も。昨日の独立記念日を一緒に過ごしたこともあるのでしょうが、留学生との会話も今日が一番盛り上がったこと、今までどうしても話せなかった留学生とようやく話せたなど、皆嬉しそうです。今まで抱えてきたもどかしい気持ちが解消された時間でした。
 明日はボストンで過ごす最後の一日です。まずは安全を第一に、仲間と共に悔いのない経験をしてほしいと思います。

浴衣を着た留学生と

お手玉に挑戦

続々と集まる留学生

お互いの言葉を教えあう生徒たち

 

2019アメリカ研修5日目報告

5日目 2019年 7月 4日(木)

 

 今日はアメリカ独立記念日、この国にとって特別な一日です。朝 8 時半に寮の前に集合すると、フィッシャーカレッジに通う他の留学生も集まって来ました。マフィンとシリアルバー、ヨーグルトなどの朝食が配られ、長い一日が始まります。まずは寮から数分のボストンコモンで朝食を食べ、スタッフから一日の説明がありました。ゲームやショッピング、そして夜は花火鑑賞と盛りだくさんの内容です。
 総勢 60 名ほどの団体なので、4 グループに分け、それぞれに FLS スタッフがつきました。太田女子は最大のグループなので、我々だけで 1 グループ、となるはずでしたが、以前から親しくしている台湾人の留学生が同じグループになりたいと申し出てくれました。彼女がいることで今日一日英語を話す機会が増えたことに、感謝をしたいです。

ボストンコモンで朝食

FLS スタッフと

 

 朝食後、まず向かったのは Forest Hills です。ガーデンやハイキングコースもある広い公園なので、ここでは 5 人以上でしたいことを選ぶことになりました。が、多くの留学生は芝生に寝転びリラックスモード。太田女子の生徒たちは散策に行ったメンバーと、残るメンバーに分かれました。しばらくするとスタッフが水鉄砲を持って登場。それに食いついたのは他国の男子学生で、まるで子どものように水をまき散らし始めました。太田女子の生徒たちの方向に飛んでくることもあり、悲鳴が上がりましたが、中には「遊びたい!」といたずらに参加する生徒も。散策に出ていた生徒たちも帰って来るなり状況を把握し、仲間に加わりました。スタッフにも容赦なく水風船をぶつける留学生の自由奔放さには負けるかもしれませんが、濡れることも構わず、走り回って午前中が終わりました。

Forest Hills の公園で

 

 昼食は街の中心部に戻り、クインシーマーケットで取りました。約 40 の飲食店が並ぶフードコートなので、何を選ぶか迷ってしまうだろうと思っていましたが、割とあっさりメニューを決めていて驚きました。クラムチャウダーやロブスターなどボストン名物よりも日本食が人気で、日本と同じ味とはいきませんが久しぶりの和食を楽しんでいました。

久々の日本食に笑顔

 

 昼食後は Assembly という駅のショッピングエリアで 2 時間ほど自由時間を取りました。
 今日は今まで関わることのなかった留学生とも交流ができるチャンスでしたが、なかなか近づくことができず、遠巻きに見ている状況が続きました。ところが一人の生徒が勇気を出して写真を一緒に撮ってもらったことをきっかけに、我も我もと声をかけ、写真撮影大会のような状態に。一度声をかけると勢いに乗ったのか、名前を聞いたりインスタを交換しようとしたり、留学生がびっくりするほどでした。生徒たちにとっては写真を一緒に撮ることが目的となっているところがありますが、これから声をかけやすくなることは間違いありません。。

留学生やスタッフとも積極的におしゃべり

 

 ショッピングのあとは、夕食をとり、いよいよ今日一日のフィナーレを飾る花火が見える場所まで移動。時間が経つにつれて人はどんどん増えていき、会場は熱気で溢れています。今か今かと待っていましたが、なかなか花火は上がらず…。生徒たちはこの待ち時間を更に留学生に話しかけるチャンスとして、新しい人脈を作って行きました。日本から持参したおもちゃや本日購入したアメリカ国旗などを手掛かりに興味をひくなど、今までは躊躇していてなかなか行動に移せなかった生徒も、限られた空間だからこそ積極的になれたのかもしれません。スタッフとも気軽に話すことができるようになり、今日一日行動を共にしたことで一気に距離が近づいていました。花火は予想していた方向とは違うところから上がり、目の前の木々が邪魔をするという残念なところもありましたが、最後に連続して上がった花火は迫力があり、歓声や拍手が自然とわきました。現地の人の愛国心を感じた一日でした。
 明日は学校最終日。あっという間の一週間で、英語クラスについて「次回こそは…」とのコメントもある中終了してしまいます。最後の一日を悔いのないよう全力で駆け抜けてほしいです。

 

花火を待つ生徒たち

待ち時間の一枚

木々の向こう側の花火

2019アメリカ研修4日目報告

4日目 2019年 7月 3日(水)

 

 ボストンは今日も日差しが強く、真夏のような気候です。昨日の英語クラスでは、「先生の言っていることが聞き取れない」「他国の留学生のレベルの高さにびっくり」と言う意見が目立ちました。クラスメイトはすべてを理解しているように見え、自分との差を気にして自信を失ってしまったり、もっと勉強をしなければ…と焦っているようにも見えます。初めての授業で様子がわからない分、耳が慣れなかったり、緊張をするのは当たり前で、先生やクラスメイトとの関係が深まれば余裕が出てくるのではないかと思います。現に、授業の終盤には先生の言っていることがわかってきたという生徒もいて、適応能力の高さを感じます。授業中にスマホをいじっていたり、おしゃべりをしたり、周りを気にしていないように見える留学生を前に「これが文化の違いか…」とカルチャーショックもあったようです。話しかけてもうまく通じず、迷惑をかけてしまった、申し訳ないと感じるところは日本人ならではの謙虚な国民性ですが、この機会に自己主張や自己表現なども彼らから学ぶのではないでしょうか。
 明日に控えたアメリカ独立記念日を前に、今日からフィッシャーカレッジ近辺も交通規制が始まり、敷地内にもポリスが待機しています。その関係で午前中の授業が終わるとすぐに敷地を出て、午後に訪れるボストン美術館(Master of Fine Arts)まで移動しました。ランチはピザかサンドイッチか?と言うアメリカ定番の選択を迫られ、生徒の希望によりピザ屋へ。ピザ以外にもハンバーガーやサラダなどのメニューの中から、それぞれ好きなものをオーダーしたところ、想像を超えるボリュームで出てくるメニューもあり、「アメリカサイズをなめていた」と若干の後悔も見えましたが、それすらも楽しい体験のようです。

FLS スタッフとボストン美術館へ

オーダーもまだ緊張気味

大きなピザと

美術館前の芝生でランチ

 

ボストン美術館では、4 つのグループに分かれ約 2 時間半をかけて館内を回りました。美術に興味がある生徒ばかりではなかったかもしれませんが、自分の知っている情報を共有したり、作品を見ながら想像を膨らませたりと目の前の作品に純粋に向き合う姿勢がありました。モネのような有名な作品から現代アートまで幅広い展示があり、あっという間に時間が過ぎ、再集合間際には慌てて家族や友人にお土産を買う生徒も多くいました。

作品に見入る生徒たち

アートの前で

ボストン美術館の前のオブジェと

 

 その後は地下鉄でノースエンドと言う地域に移動しました。時間的にはここで夕食の予定だったのですが、まだランチの余韻が残っており、それよりは散策などを楽しみたいということで班ごとに決められた区域を自由行動としました。歴史的な建造物も多く、またイタリアの雰囲気もあると言う写真好きの生徒たちにとって絶好の場所です。同行した FLSスタッフからボストンで有名なお菓子カノリの有名店を教えてもらい買って帰ってきたグループもありました。地元の人から話しかけられ日本のことを話したり、写真を撮ってもらったなど、素敵な出会いもあったようです。

ノースエンドの自由時間後の一枚

 

 明日はいよいよアメリカ独立記念日です。一昨日からコンサートのリハーサルなのか音響のチェックをしていたり、今夜はすでに花火が上がるなど明日を前に街中が賑わいを見せています。今日から独立記念日仕様のスケジュールに変わったフィッシャーカレッジですが、急な変更にも順応し、楽しむことのできるポジティブで逞しい生徒たちです。明日はどんなことを経験できるのか?と今から楽しみで仕方ないようでした。一年に一度のこの日をアメリカで過ごせると言う幸運に感謝して、明日しかできない経験をしてみたいと思います。

2019アメリカ研修3日目報告

3日目 2019年 7月 2日(火)

 

 ボストンで丸一日を過ごし、食事やシャワーなどの寮での生活はだいぶ勝手がわかってきたようです。昨日までは日本人同士で分からないことを聞きあっていましたが、今日は現地スタッフに尋ねることも多くなりました。また、友達になった留学生を朝食に誘う生徒もおり、コミュニケーションの部分でも挑戦が始まっています。

台湾人の留学生と

 

 今日からレベル別の英語クラスが始まりました。プレースメントテストの結果によって 2クラスに分かれましたが、1 つのクラスはほとんどが太田女子の生徒と言う結果に。その中でも数名いる留学生とどのように交流していくのか、期待を込めて見送りました。英語を英語で教わることは、まず先生の話しを理解しようと集中します。そして発言を多く求めるので、午前中だけの授業でも中身の濃い時間となったようです。クラスメイトとなった留学生についても、出身国や名前など報告をしてくれました。

 本日午後のアクティビティは、日本人起業家・松川原氏による講演です。日本で過ごした時間よりもアメリカで過ごした時間が長いという松川原氏に、自身が考えるアメリカと日本の違いや、今後生徒たちが生きていく将来がどのような時代になるのか、その時代に必要なことについてなど多岐に渡ってお話をしていただきました。事前に太田女子高校について調べられたということで、卒業生からの口コミを見てもこんなに評判がいい学校は珍しいと仰っていましたが、生徒たちは納得の表情。同じ目標に向かって同じように頑張ることができる仲間がいる環境が中学校とは違い居心地がいいとのコメントがありました。

松川原氏の講演

真剣な表情の生徒たち

 

松川原氏は講演中、様々な問いを投げかけます。素晴らしい人とは?「すべての人を認められる人」「自分を持っている人」、成長とは?「できなかったことができるようになること」「自分の変化に気づくこと」など一見漠然とした質問にも様々な声が上がり、松川原氏も唸るような意見も出ました。一番伝えたかったという、豊かな人生を送るためには自分がいいと思う価値観で生きること、人の評価を気にするなと言うメッセージは彼女たちにとって衝撃だったようです。終了後には、人と比べてしまう、落ち込みやすいなど、自分の性格についての相談もありました。今、新しい環境に飛び込み悪戦苦闘している生徒たちにとって、今後の行動に直結するアドバイスも多々あったと思います。講演終了後の生徒たちは新しい指標を見つけたのか清々しい表情に感じました。

講演終了後、松川原氏と

 

 毎朝提出をしてもらっている日記には、順調にはいかない状況にもどかしさを感じている生徒が多くいることが見受けられました。昨夜のイブニングアクティビティについても、日本人だけしかいなくて残念、とだけ感じている生徒もいる反面、担当のスタッフを囲み、英語だけを話そうと試みたと言う生徒もいます。それぞれ同じ環境でも捉え方や行動力によって状況が変わることがあるということを早めに認識してもらおうと、講演の後に生徒たちの昨日の経験を共有してもらいました。
 アクティビティでは、ゲームやスポーツを通して交流が持ちやすいこともあり、話しかけるきっかけは多々あります。一方で、カフェテリアでは我々のようにグループで来ている生徒たちは固まっており、それを割って入ることには当然ながら大きな抵抗があります。
 一人で食事をしていた留学に勇気をかけて話しかけたところ、会話が続かず撃沈…と言うエピソードもありました。ですが、自分の知らないところでそんなチャレンジをしていた生徒がいるということも、一つの発奮材料となるのではないでしょうか。それぞれが経験したこと、感じたことをお互いが知ることで交流のヒントや工夫に繋がればとの思いもありました。
 その効果があったのかはわかりませんが、今日のイブニングアクティビティから帰ってきた生徒からは、留学生と話した!と言う声が多く聞かれました。留学生と「またね」と声を掛け合ったり、立ち話をしている光景もあり、一歩一歩前進していることを感じます。
 ちなみに今日はサッカーのブラジル vs アルゼンチン戦が行われるということで、カフェテリアでは TV で中継を見ながらそれぞれの国の生徒が自国を応援していました。それに混ざった生徒たちはあまりの彼らの熱狂ぶりに日本との違いを肌で感じたようです。アメリカだけでなく、様々な国や文化を知る機会も溢れています。様子見…と思っていると研修はあっという間に終わってしまいます。一日一日、一回一回の食事やレッスン、アクティビティの時間を大切に過ごしてほしいと思います。

ショッピング

カフェテリアにてサッカー観戦

2019アメリカ研修2日目報告

2日目 2019年 7月 1日(月)

 

 昨夜は深夜に寮に到着したため、朝食の時間に起きてこられるか心配していましたが、全員が寝坊することなく元気に姿を見せました。ブッフェ形式での朝食は、パンケーキやシリアルの他、ソーセージやポテトなどいかにもアメリカらしいものでしたが、皆朝から食欲も旺盛で次々とお皿に盛っていきました。カフェテリアには多くの留学生がいましたが、いきなりその輪に飛び込んでいく勇気のある生徒はなかなか現れず、まずは友達同士でテーブルを囲んでいました。先輩方は本当にこの雰囲気の中で話しかけたりしていたのか?と疑ってしまうほど、今の自分たちには高すぎるハードルに思えているようです。
 朝食後は学校のスタッフよりオリエンテーションがありました。学校のルール、寮での過ごし方などを教えてもらうのですが、ところどころ「今なんて言った?」「どういうこと?」とザワザワ。その雰囲気にスタッフもわかりやすく言い換えたり、身振り手振りで伝えてくれます。昨夜対応してくれたスタッフに対しても「Welcome な気持ちを感じてうれしかった」と言っていた生徒がいましたが、明るく親切なスタッフのおかげで皆緊張もほぐれてきました。問いかけには元気に答え、説明を一回で理解した生徒たちに「優秀だね!」と言葉もいただきました。
 今週は多くの新入生が入学したということで、他国の新入生は本日プレースメントテストを受け、明日から全員がレベル分けをされたクラスでレッスンが始まります。新入生同士のクラスを前に、本日の授業は太田女子の生徒のみで行いました。今日のレッスンは、生徒のレベルに合わせた内容で、初日と言うこともあり自己紹介や、スモールトークなどが中心です。明日、同じクラスになる留学生との交流にも欠かせない実用的なレッスンとなりました。

英語クラスの様子

MIT キャンパスツアー

 

 本日の午後、まず訪れたのは MIT(マサチューセッツ工科大学)です。東京大学卒業後、現在 MIT の院生となられた吉永さんがガイドをしてくださいました。この経歴を聞いた生徒たちはどよめき緊張気味な様子でしたが、どんなことも答えて下さる吉永さんの気さくな人柄に徐々にリラックスした雰囲気に。今日は強い日差しが照り付ける真夏のような暑さだったため、空いている教室で質疑応答の時間を何度かとっていただきました。吉永さんの研究について、勉強方法などから始まり、他人と比べてしまうと言う生徒には共感と共に「自分に見合った目標設定をする」と言うアドバイスもありました。高校時代は部活に明け暮れていたという意外な事実に、自分たちと変わらない身近さを感じた半面、毎日必ず勉強していた、高校三年生ころは今では考えられないくらいの時間勉強をしていたというお話には、それだけのことをした結果なのだと納得の表情でした。
 その後は、同じく有名大学の一つであるハーバード大学へ向かいました。こちらではアメリカの大学に進学後、ハーバード大学院生となられた古賀さんがご案内してくださいました。同じ女性ながら、優秀な遠い存在と言うイメージを持っていた生徒たちですが、古賀さんの柔らかい雰囲気に徐々に距離が近づきます。様々な校舎を歴史やエピソードを交えてご説明いただきました。一年生だけが利用できる食堂や教会等、歴史ある建物は大学のイメージとは程遠かったようで、多くの建物や風景をカメラに収めていました。最後の質疑応答では、勉強方法についてはもちろん、苦手教科を好きになるためのアドバイスを求めたり、アメリカでの生活についても丁寧に答えていただきました。

ハーバード大学キャンパスツアー

 

 ここにきて、生徒たちの疲労はピークに達しており、最後の力を振り絞ってフィッシャーカレッジへ戻りました。夕食後はイブニングアクティビティがあります。こんなに疲れていて、参加できるのかと不安になるほどでしたが、全員集合時間に集まり、それぞれのアクティビティに向かいました。疲れもあり、室内アクティビティであるゲームを選んだ生徒は日本人だけだったため残念そうでしたが、その後ショッピングに出かけて、ついに留学生と話せた!と嬉しそうに報告してくれました。バスケを選んだ生徒たちは、他国のグループに入って行きづらいと躊躇していましたが、最終的には留学生と話しながら帰ってきて「楽しかった!」と満面の笑みです。
 アクティビティを通して、ようやく留学生との交流が始まりました。明日以降も、この笑顔がどんどん増えていくことを願っています。

2019アメリカ研修1日目報告

1日目 2019年 6月30日(日)

 

 ついにアメリカに出発する日がやってきました。朝から激しい雨が降る中、多くの保護者の方や先生方に集まっていただきました。校長先生、学年主任の先生から熱いエールを送られ、生徒たちもいよいよ研修が始まると言う実感がわいてきた様子です。ご家族にバスに乗る間際まで声を掛けられ、校門の外まで立って見送ってくださる先生方に手を振って学校を出発すると、車内は期待と多少の緊張からかかなり賑やかな雰囲気に。成田空港までは渋滞もなく予定よりも早く到着しました。

雨の中の出発式

家族ともしばしのお別れ

 

 今回が初めての海外渡航と言う生徒にとっては、すべてが初めての経験です。チェックインやセキュリティは友達同士で確認しながら行っていました。出国手続きは機械化が進んでおり、パスポートをかざすだけの非常に簡単なものです。そのあっけなさに少々戸惑う生徒もいたようです。各手続きや搭乗券の見方についての説明には皆真剣な表情で聞いており、きっと近い将来、自分一人で海外に行くこともできるだろうと感じました。出発ゲートまで移動した後、時間に余裕があったので自由時間としました。すでに外国人も多い環境にそわそわした様子の生徒たちでしたが、経由地デトロイトでの入国審査に向けて、予習を怠らない姿が印象的でした。

成田空港で

掲示板でゲート番号を確認

 

 成田空港までは順調に進んでいましたが、機内に乗り込んだ後機材整備の関係で一時間ほど待機となりました。ですが、機内のエンタテイメントや CA さんとの会話もあり、プラス 1 時間の空の旅を満喫したようです。
 デトロイト空港では、お待ちかね?の入国審査がありましたが、こちらもまずは機械で質問に答え、写真や指紋を取ります。予想とは違う流れに困惑しつつ、その後は想像通りの審査官との審査もありました。審査官によっては一言で終わり拍子抜けする生徒、中には想定していたことを全て聞かれた!と言う生徒も。予習が役立ったようです。
 その後はボストン行きの便までの空き時間を有効活用しようと、班別自主研修の計画表を作成してもらいました。班ごとにガイドブックやインターネットから情報を出し合っていると、思った以上に時間を要しましたが、全員がまずはこの課題を仕上げようと言う真剣な時間でした。

デトロイト空港到着

班別での話し合い

 

 そろそろ疲れもピークなはずの生徒たちのテンションが、ボストンに来て一気に上がりました。車窓から見えるボストンの昔ながらの町並みに眠気も吹っ飛んだように歓声を上げ、日本との違いにすっかり心を奪われていました。滞在するフィッシャーカレッジの寮もかなり趣のある建物ですが、今の彼女たちにとってはすべてが魅力的に映るようです。
 明るいスタッフとも早速英語でやり取りをし、興奮冷めやまぬアメリカ初日となりました。明日から本格的に研修がスタートしますが、毎日多くの刺激を受けながら、新しい経験をしてほしいと思います。

ボストン空港で

寮のスタッフと