カテゴリ:アメリカ研修2019

2019アメリカ研修4日目報告

4日目 2019年 7月 3日(水)

 

 ボストンは今日も日差しが強く、真夏のような気候です。昨日の英語クラスでは、「先生の言っていることが聞き取れない」「他国の留学生のレベルの高さにびっくり」と言う意見が目立ちました。クラスメイトはすべてを理解しているように見え、自分との差を気にして自信を失ってしまったり、もっと勉強をしなければ…と焦っているようにも見えます。初めての授業で様子がわからない分、耳が慣れなかったり、緊張をするのは当たり前で、先生やクラスメイトとの関係が深まれば余裕が出てくるのではないかと思います。現に、授業の終盤には先生の言っていることがわかってきたという生徒もいて、適応能力の高さを感じます。授業中にスマホをいじっていたり、おしゃべりをしたり、周りを気にしていないように見える留学生を前に「これが文化の違いか…」とカルチャーショックもあったようです。話しかけてもうまく通じず、迷惑をかけてしまった、申し訳ないと感じるところは日本人ならではの謙虚な国民性ですが、この機会に自己主張や自己表現なども彼らから学ぶのではないでしょうか。
 明日に控えたアメリカ独立記念日を前に、今日からフィッシャーカレッジ近辺も交通規制が始まり、敷地内にもポリスが待機しています。その関係で午前中の授業が終わるとすぐに敷地を出て、午後に訪れるボストン美術館(Master of Fine Arts)まで移動しました。ランチはピザかサンドイッチか?と言うアメリカ定番の選択を迫られ、生徒の希望によりピザ屋へ。ピザ以外にもハンバーガーやサラダなどのメニューの中から、それぞれ好きなものをオーダーしたところ、想像を超えるボリュームで出てくるメニューもあり、「アメリカサイズをなめていた」と若干の後悔も見えましたが、それすらも楽しい体験のようです。

FLS スタッフとボストン美術館へ

オーダーもまだ緊張気味

大きなピザと

美術館前の芝生でランチ

 

ボストン美術館では、4 つのグループに分かれ約 2 時間半をかけて館内を回りました。美術に興味がある生徒ばかりではなかったかもしれませんが、自分の知っている情報を共有したり、作品を見ながら想像を膨らませたりと目の前の作品に純粋に向き合う姿勢がありました。モネのような有名な作品から現代アートまで幅広い展示があり、あっという間に時間が過ぎ、再集合間際には慌てて家族や友人にお土産を買う生徒も多くいました。

作品に見入る生徒たち

アートの前で

ボストン美術館の前のオブジェと

 

 その後は地下鉄でノースエンドと言う地域に移動しました。時間的にはここで夕食の予定だったのですが、まだランチの余韻が残っており、それよりは散策などを楽しみたいということで班ごとに決められた区域を自由行動としました。歴史的な建造物も多く、またイタリアの雰囲気もあると言う写真好きの生徒たちにとって絶好の場所です。同行した FLSスタッフからボストンで有名なお菓子カノリの有名店を教えてもらい買って帰ってきたグループもありました。地元の人から話しかけられ日本のことを話したり、写真を撮ってもらったなど、素敵な出会いもあったようです。

ノースエンドの自由時間後の一枚

 

 明日はいよいよアメリカ独立記念日です。一昨日からコンサートのリハーサルなのか音響のチェックをしていたり、今夜はすでに花火が上がるなど明日を前に街中が賑わいを見せています。今日から独立記念日仕様のスケジュールに変わったフィッシャーカレッジですが、急な変更にも順応し、楽しむことのできるポジティブで逞しい生徒たちです。明日はどんなことを経験できるのか?と今から楽しみで仕方ないようでした。一年に一度のこの日をアメリカで過ごせると言う幸運に感謝して、明日しかできない経験をしてみたいと思います。

2019アメリカ研修3日目報告

3日目 2019年 7月 2日(火)

 

 ボストンで丸一日を過ごし、食事やシャワーなどの寮での生活はだいぶ勝手がわかってきたようです。昨日までは日本人同士で分からないことを聞きあっていましたが、今日は現地スタッフに尋ねることも多くなりました。また、友達になった留学生を朝食に誘う生徒もおり、コミュニケーションの部分でも挑戦が始まっています。

台湾人の留学生と

 

 今日からレベル別の英語クラスが始まりました。プレースメントテストの結果によって 2クラスに分かれましたが、1 つのクラスはほとんどが太田女子の生徒と言う結果に。その中でも数名いる留学生とどのように交流していくのか、期待を込めて見送りました。英語を英語で教わることは、まず先生の話しを理解しようと集中します。そして発言を多く求めるので、午前中だけの授業でも中身の濃い時間となったようです。クラスメイトとなった留学生についても、出身国や名前など報告をしてくれました。

 本日午後のアクティビティは、日本人起業家・松川原氏による講演です。日本で過ごした時間よりもアメリカで過ごした時間が長いという松川原氏に、自身が考えるアメリカと日本の違いや、今後生徒たちが生きていく将来がどのような時代になるのか、その時代に必要なことについてなど多岐に渡ってお話をしていただきました。事前に太田女子高校について調べられたということで、卒業生からの口コミを見てもこんなに評判がいい学校は珍しいと仰っていましたが、生徒たちは納得の表情。同じ目標に向かって同じように頑張ることができる仲間がいる環境が中学校とは違い居心地がいいとのコメントがありました。

松川原氏の講演

真剣な表情の生徒たち

 

松川原氏は講演中、様々な問いを投げかけます。素晴らしい人とは?「すべての人を認められる人」「自分を持っている人」、成長とは?「できなかったことができるようになること」「自分の変化に気づくこと」など一見漠然とした質問にも様々な声が上がり、松川原氏も唸るような意見も出ました。一番伝えたかったという、豊かな人生を送るためには自分がいいと思う価値観で生きること、人の評価を気にするなと言うメッセージは彼女たちにとって衝撃だったようです。終了後には、人と比べてしまう、落ち込みやすいなど、自分の性格についての相談もありました。今、新しい環境に飛び込み悪戦苦闘している生徒たちにとって、今後の行動に直結するアドバイスも多々あったと思います。講演終了後の生徒たちは新しい指標を見つけたのか清々しい表情に感じました。

講演終了後、松川原氏と

 

 毎朝提出をしてもらっている日記には、順調にはいかない状況にもどかしさを感じている生徒が多くいることが見受けられました。昨夜のイブニングアクティビティについても、日本人だけしかいなくて残念、とだけ感じている生徒もいる反面、担当のスタッフを囲み、英語だけを話そうと試みたと言う生徒もいます。それぞれ同じ環境でも捉え方や行動力によって状況が変わることがあるということを早めに認識してもらおうと、講演の後に生徒たちの昨日の経験を共有してもらいました。
 アクティビティでは、ゲームやスポーツを通して交流が持ちやすいこともあり、話しかけるきっかけは多々あります。一方で、カフェテリアでは我々のようにグループで来ている生徒たちは固まっており、それを割って入ることには当然ながら大きな抵抗があります。
 一人で食事をしていた留学に勇気をかけて話しかけたところ、会話が続かず撃沈…と言うエピソードもありました。ですが、自分の知らないところでそんなチャレンジをしていた生徒がいるということも、一つの発奮材料となるのではないでしょうか。それぞれが経験したこと、感じたことをお互いが知ることで交流のヒントや工夫に繋がればとの思いもありました。
 その効果があったのかはわかりませんが、今日のイブニングアクティビティから帰ってきた生徒からは、留学生と話した!と言う声が多く聞かれました。留学生と「またね」と声を掛け合ったり、立ち話をしている光景もあり、一歩一歩前進していることを感じます。
 ちなみに今日はサッカーのブラジル vs アルゼンチン戦が行われるということで、カフェテリアでは TV で中継を見ながらそれぞれの国の生徒が自国を応援していました。それに混ざった生徒たちはあまりの彼らの熱狂ぶりに日本との違いを肌で感じたようです。アメリカだけでなく、様々な国や文化を知る機会も溢れています。様子見…と思っていると研修はあっという間に終わってしまいます。一日一日、一回一回の食事やレッスン、アクティビティの時間を大切に過ごしてほしいと思います。

ショッピング

カフェテリアにてサッカー観戦

2019アメリカ研修2日目報告

2日目 2019年 7月 1日(月)

 

 昨夜は深夜に寮に到着したため、朝食の時間に起きてこられるか心配していましたが、全員が寝坊することなく元気に姿を見せました。ブッフェ形式での朝食は、パンケーキやシリアルの他、ソーセージやポテトなどいかにもアメリカらしいものでしたが、皆朝から食欲も旺盛で次々とお皿に盛っていきました。カフェテリアには多くの留学生がいましたが、いきなりその輪に飛び込んでいく勇気のある生徒はなかなか現れず、まずは友達同士でテーブルを囲んでいました。先輩方は本当にこの雰囲気の中で話しかけたりしていたのか?と疑ってしまうほど、今の自分たちには高すぎるハードルに思えているようです。
 朝食後は学校のスタッフよりオリエンテーションがありました。学校のルール、寮での過ごし方などを教えてもらうのですが、ところどころ「今なんて言った?」「どういうこと?」とザワザワ。その雰囲気にスタッフもわかりやすく言い換えたり、身振り手振りで伝えてくれます。昨夜対応してくれたスタッフに対しても「Welcome な気持ちを感じてうれしかった」と言っていた生徒がいましたが、明るく親切なスタッフのおかげで皆緊張もほぐれてきました。問いかけには元気に答え、説明を一回で理解した生徒たちに「優秀だね!」と言葉もいただきました。
 今週は多くの新入生が入学したということで、他国の新入生は本日プレースメントテストを受け、明日から全員がレベル分けをされたクラスでレッスンが始まります。新入生同士のクラスを前に、本日の授業は太田女子の生徒のみで行いました。今日のレッスンは、生徒のレベルに合わせた内容で、初日と言うこともあり自己紹介や、スモールトークなどが中心です。明日、同じクラスになる留学生との交流にも欠かせない実用的なレッスンとなりました。

英語クラスの様子

MIT キャンパスツアー

 

 本日の午後、まず訪れたのは MIT(マサチューセッツ工科大学)です。東京大学卒業後、現在 MIT の院生となられた吉永さんがガイドをしてくださいました。この経歴を聞いた生徒たちはどよめき緊張気味な様子でしたが、どんなことも答えて下さる吉永さんの気さくな人柄に徐々にリラックスした雰囲気に。今日は強い日差しが照り付ける真夏のような暑さだったため、空いている教室で質疑応答の時間を何度かとっていただきました。吉永さんの研究について、勉強方法などから始まり、他人と比べてしまうと言う生徒には共感と共に「自分に見合った目標設定をする」と言うアドバイスもありました。高校時代は部活に明け暮れていたという意外な事実に、自分たちと変わらない身近さを感じた半面、毎日必ず勉強していた、高校三年生ころは今では考えられないくらいの時間勉強をしていたというお話には、それだけのことをした結果なのだと納得の表情でした。
 その後は、同じく有名大学の一つであるハーバード大学へ向かいました。こちらではアメリカの大学に進学後、ハーバード大学院生となられた古賀さんがご案内してくださいました。同じ女性ながら、優秀な遠い存在と言うイメージを持っていた生徒たちですが、古賀さんの柔らかい雰囲気に徐々に距離が近づきます。様々な校舎を歴史やエピソードを交えてご説明いただきました。一年生だけが利用できる食堂や教会等、歴史ある建物は大学のイメージとは程遠かったようで、多くの建物や風景をカメラに収めていました。最後の質疑応答では、勉強方法についてはもちろん、苦手教科を好きになるためのアドバイスを求めたり、アメリカでの生活についても丁寧に答えていただきました。

ハーバード大学キャンパスツアー

 

 ここにきて、生徒たちの疲労はピークに達しており、最後の力を振り絞ってフィッシャーカレッジへ戻りました。夕食後はイブニングアクティビティがあります。こんなに疲れていて、参加できるのかと不安になるほどでしたが、全員集合時間に集まり、それぞれのアクティビティに向かいました。疲れもあり、室内アクティビティであるゲームを選んだ生徒は日本人だけだったため残念そうでしたが、その後ショッピングに出かけて、ついに留学生と話せた!と嬉しそうに報告してくれました。バスケを選んだ生徒たちは、他国のグループに入って行きづらいと躊躇していましたが、最終的には留学生と話しながら帰ってきて「楽しかった!」と満面の笑みです。
 アクティビティを通して、ようやく留学生との交流が始まりました。明日以降も、この笑顔がどんどん増えていくことを願っています。

2019アメリカ研修1日目報告

1日目 2019年 6月30日(日)

 

 ついにアメリカに出発する日がやってきました。朝から激しい雨が降る中、多くの保護者の方や先生方に集まっていただきました。校長先生、学年主任の先生から熱いエールを送られ、生徒たちもいよいよ研修が始まると言う実感がわいてきた様子です。ご家族にバスに乗る間際まで声を掛けられ、校門の外まで立って見送ってくださる先生方に手を振って学校を出発すると、車内は期待と多少の緊張からかかなり賑やかな雰囲気に。成田空港までは渋滞もなく予定よりも早く到着しました。

雨の中の出発式

家族ともしばしのお別れ

 

 今回が初めての海外渡航と言う生徒にとっては、すべてが初めての経験です。チェックインやセキュリティは友達同士で確認しながら行っていました。出国手続きは機械化が進んでおり、パスポートをかざすだけの非常に簡単なものです。そのあっけなさに少々戸惑う生徒もいたようです。各手続きや搭乗券の見方についての説明には皆真剣な表情で聞いており、きっと近い将来、自分一人で海外に行くこともできるだろうと感じました。出発ゲートまで移動した後、時間に余裕があったので自由時間としました。すでに外国人も多い環境にそわそわした様子の生徒たちでしたが、経由地デトロイトでの入国審査に向けて、予習を怠らない姿が印象的でした。

成田空港で

掲示板でゲート番号を確認

 

 成田空港までは順調に進んでいましたが、機内に乗り込んだ後機材整備の関係で一時間ほど待機となりました。ですが、機内のエンタテイメントや CA さんとの会話もあり、プラス 1 時間の空の旅を満喫したようです。
 デトロイト空港では、お待ちかね?の入国審査がありましたが、こちらもまずは機械で質問に答え、写真や指紋を取ります。予想とは違う流れに困惑しつつ、その後は想像通りの審査官との審査もありました。審査官によっては一言で終わり拍子抜けする生徒、中には想定していたことを全て聞かれた!と言う生徒も。予習が役立ったようです。
 その後はボストン行きの便までの空き時間を有効活用しようと、班別自主研修の計画表を作成してもらいました。班ごとにガイドブックやインターネットから情報を出し合っていると、思った以上に時間を要しましたが、全員がまずはこの課題を仕上げようと言う真剣な時間でした。

デトロイト空港到着

班別での話し合い

 

 そろそろ疲れもピークなはずの生徒たちのテンションが、ボストンに来て一気に上がりました。車窓から見えるボストンの昔ながらの町並みに眠気も吹っ飛んだように歓声を上げ、日本との違いにすっかり心を奪われていました。滞在するフィッシャーカレッジの寮もかなり趣のある建物ですが、今の彼女たちにとってはすべてが魅力的に映るようです。
 明るいスタッフとも早速英語でやり取りをし、興奮冷めやまぬアメリカ初日となりました。明日から本格的に研修がスタートしますが、毎日多くの刺激を受けながら、新しい経験をしてほしいと思います。

ボストン空港で

寮のスタッフと