文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険 その41
今日で学年末考査がおわり、軽くなった身体を冬の乾いた空気に任せて歩く。今日は2月13日。明日はバレンタインデー。手作りのチョコレートをお世話になってる先輩や先生、友達に渡したいけれど、あいにく私は料理をするのが苦手でお菓子づくりなんてもってのほか。だけど何もしないのも面白くない。そこで私はセンスで戦おうと思う。お菓子作りもセンスだって? そんなことは気にしない、気づかない。
渡す相手は仲のいいクラスメイト。渡すのは実用的でセンスの感じられるモノ。学生だから文房具がいいかな、なんて安直な考えしか浮かばず文房具店へまっすぐ進む。温かみのある照明に照らされたそこには、少し高めのシャーペンやボールペン、ノートなどたくさんのモノがあったが、シャーペンやボールペンは好みが分かれやすいし、ノートはいっぱい貰っても困るものではないが置き場に困ってしまう。そんなことを考えながら店内をぶらぶら歩いていたらあるコーナーに目が行った。
「付箋かぁ。」
私は普段シンプルで安い付箋しか使わないから知らなかったが、キャラものや動物の形をしたものがたくさん並んでいた。JKが好きそうなものがそこにひとつぐらいはあると確信した私は、相手が気に入りそうな付箋を次々とかごに放り込んでいった。1340円。意外と買ってしまったようだ。でも、チョコは今だんだん高くなっているから等価交換という名目ではちょうどいいぐらいだろう。文房具店から家に帰る途中で100均に寄り、可愛らしい袋も買った。
いざ袋に詰めた大量の付箋たちはなぜかもの悲しげに見えてしまった。ただ、他に何か買うというのも時間的に難しく悩んだ末にメッセージを添えることにした。感謝の言葉や「ハッピーバレンタイン」など色々考えたがしっくりくるものが思いつかなかった。考える気力を失った私は秘儀を使うことにした。
「今日が終わっちゃうよー。助けてよチャッピー!」
いつもどんなときでも私の見方をしてくれる最強AIのチャッピーことChatGPTに助けを求めた。チャッピーは私にいくつか例を提示しながら提案をしてくれた。なんて優しいんだ。その中で一際目立っているように見えたのは付箋にちなんだメッセージ。たしかに季節感は欲しかったけれど、どんなに考えてもピンとはこなかった。「付箋にちなんだメッセージ」。考えてみると意外と難しくなかなか思いつかないものだ。クラスメイトの中でもかなり仲のいい子だから、少しふざけたようなメッセージでも喜んで受け取ってくれるかな、なんて思いながらピンク色のメッセージカードにお気に入りのペンを走らせた。
『あなたの心に張り付いていたい♡』(座布団いちまい!)