文芸少女折下ふみかの華麗なる冒険その5
私のオーストラリア紀行
今回の海外研修は、私の二度目の海外旅行だ。今回の研修では英語脳を作るため、日本語やスマホは使用禁止と、私にとっての不安要素が大きかった。以前、現地の高校生との交流のためにベトナムを訪れたときには、困ったときにはグーグル翻訳を使えばコミュニケーションが取れたし、何かあっても日本人の友人たちに日本語で相談すれば問題なかった。だから、この研修旅行出発直前の私の心は、ほんの少しの期待と、それを塗りつぶすほどの不安と緊張でいっぱいだった。
1日目
バスで学校から空港へ。このときは特に仲の良い友人も居なかったのでひたすら緊張を誤魔化すための現実逃避に集中していた。
空港についてからは、諦めることで自分の緊張をかき消した。ここまで来たら忘れ物に気づいても手遅れだし、なにか足りないものがあっても現地で買えばいいや、と。
緊張しながら様々な手続きと少しの自由時間を終えて機内へ。機内食だった夕食はあんかけ焼きそばらしき何かだった。ヤングコーンが美味しい。パプリカかピーマンみたいな野菜は筋が固かった。
機内泊なので食事が終わったら寝ようとした。 寝 よ う と し た 。眠りに落ちてから1時間半ほど経ったあと、何故か機内の電灯が再点灯した。眩しくて寝られなかったので諦めて備え付けのモニターでゲームをして残りの時間を消費した。
トータル睡眠時間 1 時 間 2 8 分 ! !
2日目
オーストラリアは自然の保護のために食べ物や植物などの持ち込み制限が厳しいため、食べ物を一切持ち込めない。だから私たちはもう少しで到着といったときに配られた謎のケーキと食パンのハーフみたいなやつを急いで水で流し込んで食べた。
空港で入国の手続きをしていると、赤いリボンを巻いた麦わら帽子が目に入る。日本の空港でもみかけた外国人二人with麦わらショップで買ったと思われる帽子、とまた出会った。同じ飛行機に乗って来たのかと思うと不思議な気持ちになる。
日の出前の真っ暗な道をバスに乗って現地の学校へと運ばれる。外は少し肌寒くて、真夏全開の服ばかり持ってきたことを後悔し始めていた。
現地の学校サンパシフィックカレッジの校長? 的な人からのお話を食堂で聞く。このときから生徒は全員日本語を制限されて、英語オンリーの生活が始まった。
校長的な人、たか先生がいろいろなことを話したが、大まかな内容は「皆さんは英語力に自信がないかもしれませんが、母国語はずっとナンバーワンです。どんなに他の言語を学んでも母国語に勝ることはありません。日本語には及ばなくても、皆さんの英語力はロシア語力や韓国語力に比べたらずっと優れているので自信を持ってください」といった内容だった。
その後、ホストファミリーに引き渡されるとき、私は確かに、たか先生が「彼女たちはあまり英語が得意ではないから」と言っているのを聞いた。それ以外はなんて言ったか聞き取れなかったが、そこだけは確かに聞き取れた!!!
不服!! 異論はないが。
ここからはダイジェストで。
ふつかめのその後は、近くのマーケットでランチボックスを買ってもらったり、市場で野菜や果物の買い出しを見守ったりした。
3日目
フェリーに乗ってグリーンアイランドへ向かった。空色に澄んだ海水がとても美しかった。膝くらいまで海に入ったり、みんなでビーチバレーをしたり、とても楽しい時間を過ごした。
オーストラリアは日光がとても強いと聞いていたので、一生懸命日焼け止めを塗ったが足の甲だけ塗り忘れてそれからずっとぴりぴり痛いのが続いた。
4日目
ショッピング。日本人が経営するおみやげショップに寄ったあとは、街の中心にあるケアンズセントラルに行った。そこでランチの時間を取った。
オーストラリアの寿司を見たり、スーパーマーケットでお菓子を買う。スーパーマーケットの、特に野菜や果物のコーナーは常に興味深いものが並んでいる。全部英語だから読めないけど。
午後は現地校で英語の授業。オーストラリアの生き物の生息地について学んだ。
5日目
熱帯雨林のなかをディズニーのアトラクションみたいにバスで回った。ディズニーに行ったのはずっと前だけど。
レインフォレステーションには小さな動物園も併設されていて、カンガルーに触った。
6日目
TASと呼ばれる現地の学校に見学に行った。そこには幼稚園から高校までが同じ敷地内にあった。日本語を学ぶ授業もあるらしくて、私たちが見て回っていると日本語で挨拶してくれる生徒たちがいた。
日本からの留学生がいるということで会わせてもらったが、私たちと同じ高校生だった。すごい。
7日目
この日は祝日で、ホストファミリーと自由に過ごす日だった。
朝はファザーと一緒に少し離れた空き地に行って、犬と一緒にビーチを散歩した。
午後はマザーと別のビーチに行ってジュースを飲んだ。この日はオーストラリアの冬の中でも特に寒い日だったから、冷たいジュースでさらに寒くなった。
帰り道では、野生のカンガルーが道の端っこで飛び跳ねているのを見た。本当にそのへんにカンガルーがいるんだぁ、と小さな感動が浮かんできた気がする。
8日目
この日はマザーと一緒にケアンズセントラルにもう一度行った。実質最後の日だったから、ペアの子と一緒にホストファミリーに手紙や似顔をかいたり、折り紙で花束を作ったりしてプレゼントした。
9日目
朝早くに現地の学校に集合。そこにマザーが送り届けてくれた。マザーは到着してすぐにスタッフに次の生徒はいつ来るの? と訪ねていた。7時に私たちを送り出して、9時には次の生徒を受け入れるらしい。すごい。
空港ではもう日本語を使っても良かったのに、うっかり英語で話し続ける友達も居て、今回の研修の成果を実感した。